とはいえ翔馬がわたしよりもずっと優れたセンスを持っていることは明らかだった。


危なっかしい運転の車で連れて行かれた先は、数駅離れたショッピングモールだ。

買い物客の女の子たちから視線を浴びて鼻を高くしながら、兄は臆することなく可愛い雰囲気の洋服店に突入した。


ああでもないこうでもないと、次々にわたしに服をあてがい、

最終的には店員さんと仲良くなって非売品の販促品まで手に入れる始末だ。


おそるべきコミュケーション能力……。


無料で手に入れた、リボンのついた可愛いヘアピンを握り締めながら、

わたしは背中を押されるようにして試着室に押し込められた。


今まで着たことのないふわふわ素材のニットと、今まで見向きもしなかった女の子っぽいふんわりしたスカート。


絶対に似合わないと思ったのに、着てみると、意外にも全身がぱっと明るくなったような気がした。