「ねぇ 姫様」 いつものように呼ばれて振り返る けど、そこにいたのは優しく微笑む彼じゃない。 どこか、怒ったような真剣さが感じられる。 「どうしたの?」 深い色をした彼の瞳に吸い込まれていくように、目線を動かせない。 「 姫様、僕と遠くに行かない?」