「今日は、随分積極的やん」
そう言われ、さらに硬直してしまった。
意地悪な笑みを浮かべて、耳元で言われた言葉に、きっと体中が真っ赤になっているはず。
そして、ゆっくりと瞬さんは後ろに倒れ、私が彼の上に覆いかぶさる状態となった。
「今日は睦美がリードしてよ」
ムリムリムリ!!リ、リードなんて!
「なぁ、睦美、早くしてくれないと、俺が襲ってしまうで」
あぁ、そうして下さい。
なんて思いながらも、言えるわけもなく、私は彼の上で動けずにいた。
その時、普段はあまり鳴ることのない瞬さんのスマホが鳴り出した。
「チッ、いいところやったのに」
頬を膨らませてそう言うと、私を上から下ろし、ソファにもたれるようにして座り、テーブルの上に置いてあったスマホを手に取った。
「母さんからだ」
スマホのディスプレイを見ると、首を傾げながらそう呟くと「はい」と落ち着いた表情と声で電話に出た。
私は、見えない相手に背筋を伸ばし、ソファに座り直した。