「ただいま」


リビングに入ると、キッチンから嬉しそうな母の声が聞こえた。


「おかえり~」


来なくてもいいのに、タオルで手を拭きながら、こっちに寄って来る。


「ねぇ、睦美、先生とは仲良くしてる?」


ニヤニヤという表現が一番ふさわしい表情で聞いてくる。


「まぁ・・・・・・」


私は母のテンションについて行くことができずに愛想のない返事をした。


「何よ、その返事。おもしろくないなぁ」


・・・何がおもしろくないんよ。


十分楽しんでるではありませんか。


「先生っていい人よね。お母さん好きやわ」


・・・・・・そうですか。


「また家に来てもらってね。お父さんも待ってるから」



満面の笑みで言う母は、とても嬉しそうで、心の中で私も「よかった」と思うんだ。


私は、部屋に行くと、ベッドに寝転び、昨日からの出来事を思い返していた。


付き合ってすぐに一夜を共にして、キスをして、抱かれ・・・。


濃密すぎる1日に今更ながらに恥ずかしくなってくる。



とにかく思ったのは、この幸せな時間がずっと続けばいいなということだけ。