「早く用意しろよ~」


リビングに戻って来た私の気配を感じて促すように言うと、ちらっと振り返り私のほうに視線を向けた。


私は、彼のTシャツにハーフパンツを借りて着ていた。そして濡れた髪をタオルで拭いていた。


「うわっ・・・・・・」


真っ赤な顔をする彼を見て、私の足は止まってしまった。


「えっ?」


「睦美、向こう行って」


「はぁ?意味わからないし!向こう行ってって」


正直ショックを受けた。さっきまであんなに優しかったのに・・・急に向こうに行けなんて言われたから、つい感情的になってしまた。



「キツイ言い方してごめん。でも近くにいたら、また襲ってしまいそうやから・・・・・・」



切ない顔をした彼の顔に「アホ」と言うと、私は洗面所に戻った。