「睦美~朝飯食おう」


ドアの向こうから聞こえる声に「はぁい」と返事をし、ゆっくりと寝室を出た。


寝室を出るとキッチンに立っている瞬さんの隣に立った。


「せっかく昨日作ってくれたんやから一緒に食おう。
でも、昨日俺が食べたから減ってるんやけど」



そう言いながら、お味噌汁を鍋にかけると、何かを思い出したかのように「あっ」と言い、私の顔を見た。



あぁ、やっぱりイケメンよね・・・改めて見ると、睫毛長いなぁ・・・肌もきれいやな・・・とつい見とれてしまった。



「なぁ、睦美、あんなに野菜とか買って来てどうすんの?俺、料理できへんから腐らせるだけやで」


そう、彼が言うように、私は昨日大量の買い物をした。


野菜、肉、調味料などを揃えた。


「私が料理するから大丈夫です」


私は、彼に料理を作るために食材を揃えたので、力強く頷くと、彼の方に視線を向けた。


「えっ・・・」


私の言葉に彼の手は止まり、驚いているようだった。


きれいな二重の目は丸くなり、眼球が飛び出してしまいそうだった。



「あっ、お味噌汁止めないと!」


動かない彼の前に手を伸ばしてコンロの火を消した。


そして、体制を元に戻そうとした時に、ふいに後ろから抱きしめられた。


えっ・・・・・・。



こんなに密着したのは初めてで、一気に心臓が爆発するように動き始めた。


「ほんまに作ってくれるの?」


抱きしめている彼の腕は、私のお腹の辺りにあり、力を入れるといくらでも逃げることはできるが、逃げようとは思わなかった。


このままでいたいと思ってしまった。


「はい」


ドキドキとうるさい心臓の鼓動の早さとは逆にゆっくりと頷いた。


「・・・・・・ご両親に言われたから?」


吐息混じりの彼の声は小さく、気を抜くと聞き逃してしまうくらいだった。


しかし、耳元で言われているので、しっかり聞こえるどころか、頭の中で反響し、繰り返し再生されている。