「わかりました。これからは、瞬さんって呼びます」
「よしっ、いい子だな」
と言いながら、まるで子どもにするように私の頭をなでた。
そんな彼の表情を見ようと視線だけ彼の方に上げると、愛おしそうに私を見つめる彼と目があい、すぐ目を逸らしてしまった。
なに、その表情。
心臓に悪すぎる。
彼から目を逸らし、すぐに目に入って来たのは、黒と白のシンプルな掛け時計だった。針は、5時半をさしていた。
1時間半くらい寝てたんだなぁ・・・・・・。
それにしても、眠りが深かったのか、すごく体か軽い。
しばらく私の頭の上にあった彼の手が離れると、
「いいよ、かわいい寝顔見れたしね」
といたずらな笑顔で私を見た。
「うわぁ、最悪だ・・・・・・」
私はベッドの上で、脚を折り曲げ頭を抱えた。
いったいいつから起きてたんだろう、この人は。
私がへこんでいるのを見て、
「そんなに変な顔してなかったから大丈夫」
と私の頭をポンと叩きながら言った。
「そんなにってことは、やっぱり変な顔してたんやぁ・・・」
私は体育座りをもっと縮こませて小さな塊になり、膝に額を付けていた。
「ウソウソ、かわいくて、襲いそうになってしまったよ」
その言葉に、私は顔を上げて、睨みを効かせると
「ほんまにキスしようかと思った。でも、してしまったら止まらなくなりそうだったからやめた」
なんてことを真顔で言った。
あぁ、負けだ。
まっすぐな瞳で見られると、胸が異常な程激しく動き出してしまう。