「呼ぶか呼ばないか」、いや、「呼べるか呼べないか」をしどろもどろになりながら考えていると、あることに気付いた。



えっ、私なんでベッドに寝てるの?確かベッドの横で座っていたはず。


「もしかして、ベッドに運んでくれました?」


「あぁ、さすがに座りながら寝るのはしんどいと思って」



なんたる失態。


眠ってしまった上にベッドに運んでもらうなんて・・・・・・しかもそれでも起きないなんて。


そう言えば、夢を見た。


柔かくて暖かい毛布のようなものに包まれている夢。それは彼だったのかもしれない。



「はい、ごめんなさい」



少しうなだれて、溜息をついた後、彼は「先生って呼ぶのをやめたら許してやる」と話をぶり返した。



あぁ、これは呼ぶまで許してくれないパターンでは?


おそらく、私が抵抗しても、敵の方が一枚も二枚も上手だから、勝てるわけがない。