次の日の朝、いつも通りに出勤すると、噂好きの木村さんが中心になって話をしていた。
「あの先生最悪やったね」
今日は、誰の噂話ですか?
そんな噂話をする時間があるくらいなら、もう少し勉強したらどうですか?
私が、そう言いたくなるくらい、彼女は仕事ができないくせに、いつも偉そうにしている。
その自信はどこから出てくるのだろう・・・・・・といつも思う。
だが、先輩に面と向かってそんなことを言えるほど、私も強くない。
「そんなに酷いんですか?かっこいいのに」
佐々木先生のことかな?でも最悪って、何がだろう?
セクハラでもされたのか?
私は、手を動かしながら、木村さんの声を聞き取ろうとしていた。
「昨日、佐々木先生の回診に付いたんだけどさ偉そうやし、『そんなこともわからないでよく、看護師やってられるね』とか言われたし!」
「酷いですね」
そう相槌を打つ奈緒もまた木村さんのことは苦手としているが、それなりの対応をしていた。
へぇ、あのイケメンドクター、そんなことを言うんや。
意外かも。
というか、あんたが勉強していないのが悪いんやろ。
自業自得やし。
そんなんやから、高倉さんが寿退社した後の主任候補になれるかも怪しいんやで。
心の中で毒を吐きながら、私は木村さんが騒いでいるナースステーションを出て、患者さんの処置をしに向かう。