「やめてくださいよ~そんな冗談」


そう冗談。


いや、私をからかってその反応を見ているんだ。


それなのに真に受けては笑われるだけ。


笑い飛ばしてみたが、俺様ドクターは、真剣な表情を崩すことはなかった。



「本気やぞ、俺は」



その視線と言葉が、あまりにも直球で、私は再び固まってしまった。



ちょ、ちょっとこれ何ですか?なぜ「結婚しよう」なんて言われてるの?


私達そんな関係?


ち、ちがう、ちがう!


彼は、ただ、私が勤める病院に来ている非常勤医師で今日は・・・・・・なんで二人で食事をしてるん?



「下心やから」って、あれって冗談じゃなかったの?



えっ、全く理解できない。



「なぁ・・・」



何も言わず、ひたすらあたふたしているだけの私に痺れを切らしたのか、彼は口を開いた。



「俺さ、お前のことが好きなんや」


「ふえええ?」



あまりにも驚きすぎて声が震えているのがわかった。


そして正常に動いていたはずの心臓は、けたたましく動き出し、目線もどこに向けていいのか、手をどこに置いていいのか、何を話していいのか全くわからなくなっていた。



私のことが好きって・・・・・・いったいどこが?




とりあえず、目の前の水を飲んで落ち着きを取り戻そうとした。



「はぁ」


ため息にも似た息を吐くと、私は目の前の彼を見た。