「あとは、やたらと事務のお局さんが偉そうにしてるとか・・・」


言いだしたら愚痴なんて山のように出てくるし!




「あぁ、あの子、土井とかいう子?」


「よくご存じですね」



「上野山から聞いたことある」



「あぁ、上野山さんも被害者ですよ。ああいう人に限って寿退社しないんですよね」



そう言うと私は、大根サラダを頬張った。


これまた、ドレッシングが絶妙!



モグモグと大根サラダを食べる私の目の前の佐々木先生は、箸を置き、両手を顎の前で組み、その上に顎を軽く乗せた状態で、さらっとこんなことを言った。



「じゃぁ、お前が寿退社したらいいやん」



いやいや、この人、簡単に何てことを言うんだろう。


こんなにもさらっと厭味を言われたら、怒る気にもならない。



「先生、ご存じですか?寿退社するには、相手が必要なんですよ?」



私は、指でテーブルを叩きながら「相手」という部分を強調し言ったが、目の前の俺様ドクターはなぜか真剣な表情に変っていた。




「じゃぁ、俺が結婚してやろうか?」



一瞬、何が起きたのかがわからなかった。



目の前の男が言っている言葉を理解するのに相当の時間がかかった。



結婚って?えっ・・・何それ?



私の頭には意味のある言葉は生まれて来そうになかった。


しかし、落ち着いて考えてみると、あることに気付いた。



うわっ・・・からかわれているのに、本気にするところやった。