「お前さ、楽しそうに仕事してるよな・・・」
何、いきなり?急に仕事の話しになったんだけど。
佐々木先生の表情が、私の言葉を待っているように見えたので、話を合わせた。
「そうですか?いろいろ大変で、眉間に皺が寄りっぱなしですよ」
実際に眉間に皺を寄せてみて、「ほらね」と冗談ぽくしてみた。
でも、本当にそうだ。毎日、毎日腹の立つことばかりで嫌になることもある。
前の職場よりはましだけど・・・。
「そっか?具体的には?」
料理に箸を伸ばしながらも、視線は私に向けられると、自分の目が泳いでいるのがわかった。
ぐ、具体的に??
こんなこと軽く流されると思ったが、目を見ると真剣に聞いてくれていることがわかったので、話し始めた。
「えっ・・・勉強不足の先輩に腹が立ったり、すぐに泣き出す後輩がいたり・・・」
「あ、それあるなぁ。大したことを質問してるわけじゃないのに黙ったり、泣きだしたりする奴いるよな・・・」
頷きながら、「いるいる」と言っている本人のことを言ったらどうなるのだろうか・・・そんな悪戯心が生まれてきた。
「それと、ドSなドクターにいびられて文句を言ってる人に嫌味を言われたり・・・」
「なにそれ、そんなドクターいるの?」
お前だよ!!
全然、気付いていないのか、気付かない振りをしているのか、様子を伺っていたが、おそらく前者のようだ。
まぁ、ここは何も言わないでおこう。