「そんな、謝らなくていいし」


覚悟をしていた割に掛けられた言葉が優しくて驚き、顔を上げた。


「えっ・・・」


驚きのあまり、きっと私はとんでもなく不細工な顔をしていたのだろう・・・・・・・佐々木先生は私の顔を見るなり吹き出していた。


「ふっ、なんて顔してるんや」


「人の顔を見て吹き出すなんて失礼ですよ」


「あっ、ごめん、ごめん」


そう謝りながらも笑う佐々木先生を見て、つられて笑った。


「やっと、笑った」


「えっ?」


私のことを見る視線があまりにも優しくて、目を逸らして俯いてしまった。





「なぁ、楽しくない?」



その声が、今まで聞いたことのない様な切ない声だったので、私は顔を上げ、素直な気持ちを口にした。



「楽しいです。でも・・・・なんだか緊張して・・・」



「緊張?」


「はい」


静かに頷いたが、やはり敵の方が一枚上手だった。


「そうは見えないけど?」


「うわぁ、ひどい。」


と言い、頬を膨らませると顔を窓の方に向け拗ねている振りをしてみた。


「ふっ、やっぱり表情が豊かだからおもしろいな」


あぁ、それもよく言われる。