「うわぁ、おいしそう!」


目の前に並んだ料理はどれもおいしそうで、思わず声が出てしまったが、少し恥ずかしくなった。


―――子どもじゃないんだから―――頭の中でそんな言葉が浮かんだ。


そして、目の前の人にもバカにされると思った。


しかし、目の前の人は「だろ?」と目を細めて言うだけだった。


どうも調子が狂うなぁ・・・。


そう思いながらも目の前の創作料理の数々を食べ始めた。


「おいしい!!」


一品一品に感激しながら私は食欲を満たしていった。


「お前、旨そうに食べるなぁ」


感心するように言われたが、エビと枝豆のレンコンはさみ揚げを口いっぱいに頬張っている時だったので、すぐに答えることはできなかった。


味わいながらも、早く話さなければという思いを察してくれたのか、

「慌てなくていい」

と言ってくれた。



「はい、よく言われます」


ようやく口の中の物がなくなって言った言葉がこれだったので、

「お前、ほんまおもしろいなぁ」

と笑われた。



ほんまにおもしろいって・・・まるで前から思ってたみたいな言い方だし。


「そんなことないですよ」


軽く言ったつもりだったが、佐々木先生は、本気で「おもしろい」と思っていたようだ。




「そっか?俺、お前みたいな女に初めて会ったけど?」


「えっ?」


お前みたいな女に初めて会った?私、いったいどんな女なのよ?



「無理矢理、腕を引っ張られて、病室まで連れて行かれたことないし」



あっ・・・それは・・・なんというか・・・穴があったら入りたい。


「あ、あの時は、すみませんでした」



私は、俯いて謝罪した。


やっぱり、怒ってるよね・・・私はどんな言葉でも受ける覚悟をしていた。