「・・・・・・イケメンドクター?」
語尾を上げて言うと、佐々木先生は「疑問形かよ!」と笑っていた。
「・・・・・・すみません」
恐縮しながらつぶやくと、再び笑われた。
「お前さ、今日はいつもと感じが違うな」
えっ・・・・・どこか変?
服装は確かにカジュアルすぎるかもしれないけど、変な組み合わせじゃないし、何?
「いつもって、いつもはどんな感じなんですか?」
「いつもね・・・気が強いナース?」
「疑問形ですか?」
私が佐々木先生にしたのと同じようにしてくれたことで、少し余裕が出てきた。
「いや、気が強いナース!!」
「・・・・・・断言ですね」
「当たり前や!お前みたいな気の強いナースは見たことない」
若干、『気の強い』『見たことない』を強調されて言われたことに、私は今までの行動を一気に反省した。
「着いたぞ」
車を降りて見えたのは、外壁が波のようにかたどられていて、一目見ただけでもお洒落な雰囲気が漂っている。
店内は、少し照明が落とされていて、とても落ち着いた雰囲気だが、猫の置物などかわいらしい小物を置いてあり、ポップな感じにも受け取れる。
「いらっしゃいませ」
丁寧に挨拶をしてくれた店員さんに案内されて、私達は窓側の席に着いた。
「どう?この店?」
「すっごい、いい雰囲気ですね!」
私は感じた通り口にすると、「だろ?」と嬉しそうに笑ってみせてくれた。
あっ、また笑ってる。
先生の笑顔を見ると、どうも心臓が早く動き出してしまう。
恐るべし、イケメンのスマイル。