階段を登りきると、2階にも何部屋かが並んでいて、これまた驚いた。
この家って、いったい何部屋あるんだろう・・・・・・。
「瞬さん、家政婦さんとかっているの?」
気づいた時には聞いていた。
だってこんなに広い家を・・・・・・お母様は仕事をしてるし・・・。
「家政婦まではさすがにいないけど、定期的に掃除は頼んでるみたいだけど?」
なるほど、そっかぁ。
そりゃそうやんね。
うんうんと頷いていると「おかしな奴」と笑い、部屋のドアを開けた。
子ども部屋にしては少し広一目の部屋は、整頓されていて、誇りっぽさがないことから、ここも定期的に掃除されていることが伺い知れた。
木製の勉強机に本がぎっしり詰まっている本棚。
そして、シーツだけが掛けられているベッド。
使っていないだけあって生活感はない瞬さんが過ごした部屋にいることが嬉しかった。
「テキトーに座って」
勉強机のイスに座ると、くるりとこちらを向いて足を組んだ。
厭味なほどに長い脚・・・この人の外見に欠点はあるのだろうか?
彼の言葉に促され、私はベッドに腰を掛けた。
「睦美、疲れた?」
「ちょっとね」
と天井を見て笑った。
キョロキョロと見わたす私を見て、「何か珍しいものあるか?」と優しい声を掛けてくれる。
「瞬さんが過ごした部屋なんやなって思ってたの」
「へんな奴」
ぐるりと見渡すと目に入ってきた本棚に引き寄せられるように近づいた。
ほとんどが医学書だったが、中には、漫画などが並べられていた。
そして、目に付いたのは、卒業アルバムだった。
「これ見ていい?」
アルバムを指差し振り返った瞬間、優しい匂いに包み込まれた。