「ほんまは、一緒にたかったんやけど、明日仕事やからごめんな」
店を出て、車に乗るとすぐに、別れを惜しむようにキスをし、お互いを求めあった。
きっと彼はそれだけでは満足できないだろうけど、次の日のことを考えて、私を送り届けてくれた。
車内では、もう一度、瞬さんの家へ行くことを約束した。
そして、もう一つ・・・大切なこと・・・・・・。
「睦美、職場は変えることできる?」
突然聞かれたので、意味がわからず、「えっ?」と聞き返すと、彼は話し始めた。
「将来的には俺も医大を辞めて、うちの病院で働くことになると思う。
まぁ、まだ先の話やけど。結婚した時にさ・・・睦美が他の病院で働いているのはちょっとな・・・」
「わかってます。結婚する時に立花は辞めます」
私がこんなにもきっぱりと言うとは思わなかったのか、彼は「えっ、いいのか?」と弱気に聞いてきた。
「はい。あの病院は、居心地はいいけど、そんなに執着はしてませんから」
「そっか」
私の言葉に彼は安心しているようだった。
「それより、看護師を続けていいの?」
結婚してからも、同じ職場で働くのはやりにくくないのだろうか?
それより、家庭に入って欲しいとは思わないのかな?
「えっ?・・・あぁ、家庭に入るってこと?考えたこともなかったなぁ。
辞めたい?辞めたくないやろ?
とういうか、俺を怒鳴りつけることができる看護師なんて、お前しかいないから、いなかったら困るのは職員やろうな」
ニヤッと笑いながら言う彼に「自己分析がよくできていますね」と言うと、
「誰にそんなこと言ってるんや?覚えとけよ!」
と俺様発言をしてくれた。