「ところで、なんであんな道端で泣いてたの?」
私は、立川さんに連れられて近くのファミレスに入った。
お昼過ぎだったが、席はほぼ満席だった。
周りには、家族連れがたくさんいたので、私達の神妙な雰囲気を気にする者などいなかった。
彼に話しかけられても、何も答えることはできなかった。
「彼氏と喧嘩でもしたの?」
図星をつかれ、私は俯いていた顔をあげ彼の顔を見た。
「あっ、図星?」
頬杖をついて、こちらを向きながら言う彼の言葉に私は再び俯いた。
「・・・・・・別れたんです」
消えてしまいそうな声で言うと、彼は「そっか」とだけ低く言った。
周りでは賑やかな声がする中、私達はまるで別れ話をするカップルのように見えているのかもしれない。
空気が思い。私が全て悪いんだが・・・・・・。
「浮気でもされたとか?」
なぜ、この人はこんなことを聞くんだ・・・。
でもここまでついて来て、黙っておくわけにもいかないか・・・・・・。
「なぜ、そんなこと聞くんですか?」
質問されたのに、質問で返してしまった。
嫌な顔をされてるだろうかと思いながら、彼の顔を見るとそうではなかった。
「ももちゃん、まだ好きなんだろうと思ったから・・・・・・」
優しく言うと、口角を上げてニッと笑った。
目は細くなり、なくなっていた。
あぁ、この人、今気付いたけど、結構かっこいいんやな。
「・・・・・・実は」
私は彼の雰囲気に安心したのか、今日あったことを話し始めていた。
まず、彼氏が医師であることに驚かれた。
「すっげえなぁ、医者なんや・・・・・・」と驚きながらも、少し落胆しているようだった。
そうだ・・・この人、私に一目ぼれしたって言ってたんやった。
すっかり忘れていた彼からの告白を思いだし、先を話すか迷ったが、
「気にしないで話して」
と言われて、続きを話し始めた。