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「うわっ、今日、俺様ドクターの回診につかなあかんし」
木村さんの大きな声が食堂中に響いていた。
うんざりした顔の木村さんを見ないようにして、私は彼女とは別のテーブルについた。
朝から俺様ドクターが担当していた胃カメラに付いた束ちゃんもぐったりしていた。
「束ちゃん、どうしたん?佐々木先生に怒られたん?」
「ああ、俺、あの先生に嫌われてるみたい。めっちゃ嫌味言われた」
頭を抱えるようにして言う束ちゃんに、私は呆れながら言った。
「嫌味ね・・・・・・それは束ちゃんが勉強してないからじゃないの?」
「痛いところつくな・・・」
そう、束ちゃんは勉強していない。
私がこの病院に来た時にそう感じた。
そして、事あるごとに忠告してきたのに、全く進歩がない。
それは他の人も同じ。看護師長の思いもむなしく、正直レベルが低い。
だから、佐々木先生に怒られるんだ・・・と、最近よく思う。
「事実やからしかたないやん。あぁ、かわいそう。
束ちゃんが佐々木先生の機嫌を損ねたから午後からも機嫌悪いやろうなぁ・・・」
私は、木村さんの背中を見ながらつぶやいた。
「うわぁ・・・・・・おそろしい」
「あんたのせいや!」
その時、上野山さんが私の前に座った。
「ももちゃん、瞬がさ、めちゃくちゃ機嫌悪かったんやけど、何かあったん?」
うわっ・・・それ禁句やし。
「上野山さん・・・・・・俺が先生を怒らせたんです」
「そっかぁ・・・・・・あいつ、仕事のこととなると容赦ないからな」
そう言うと、「ははは」と笑って、食事を始めた。
上野山さん、笑い事じゃないですから・・・。
彼の言葉によって、束ちゃんはさらにへこんでいた。