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家に帰り、早めの昼食を摂ると、眠りについた。
いつもは夜勤明けでも寝たりしないのだが、今日はいろいろ気を遣いそうだったので眠ることにした。
『睦美、僕と結婚して欲しい』
私は勢いよく起き上がると、着ていたTシャツは汗だくになっていた。
はぁ、変な夢を見てしまったし・・・。
目を閉じると、いつも変わらない笑顔が浮かんできた。
もう・・・・・・あなたのことなんて好きじゃないのに・・・なぜ、はっきりと言えないんだろう。
嫌な汗を流すべく、シャワーを浴びた。
頭からかぶって冷蔵庫を物色していると、お母さんが買い物から帰って来た。
「あら、睦美、シャワー浴びてたの?」
「うん。これからまた病院に行かないといけないから」
「そうなんや、大変やね」
中身がいっぱい入ったビニール袋をキッチンに置くと、冷蔵庫に入れ始めた。
私は、麦茶をコップに入れると、一気に飲み干すと口を開いた。
「お母さん、今日は夕飯いらないから」
今日は、勉強会の時にお弁当が出るらしいので、家では食べない・・・というか瞬さんに会うからどっちにしても食べないんだけど。
「あら、先生に会うの?じゃぁ、今日は、帰って来ないのね~」
私は一言も言っていないのに、話を進めていた。
まぁ、いいか・・・。
明日、私も瞬さんも休みだし。
「あのさ、お母さんは、私が彼の所に泊っていいと思ってるの?」
自ら言うくらいだから反対していないのはわかるが・・・一応、嫁入り前の娘ですよ?
「お母さんね、早く孫の顔を見たいから、いいわよ~」
・・・・・・聞くんじゃなかった。
「な、何言ってるのよ!」
「だって、結婚するんでしょ?」
「・・・・・・」
結婚・・・・・・。
そりゃ、結婚を前提とした付き合いだと行っても、具体的に話しはしていないし・・・。結婚するのかな?
「お母さん、楽しみやなぁ。赤ちゃん」
・・・・・・そこなのね。
もう話にならない母との会話を止めて、私は2階へと向かった。
あの母親は、どうしていつもあんなのだろう?自分の母親でありながら、よくわからない。
『睦美のお母さんって、ぶっ飛んでるよな』
瞬さんにそう言われた時のことを思い出すと、笑みが零れてきた。