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「もも、佐々木先生の車ってすごいな」


夜勤が始まる前に食事を摂るために来た食堂で、束ちゃんと2人、向かい合うように座っていた。


他にはまだ、誰も来ていなかったので、束ちゃんは話を切りだしたのだろう。



「・・・束ちゃん、なんで知ってる?」



「昨日、飯食いに連れて行ってもらった」



ピースサインをしながらそう言う束ちゃんは、妙に笑顔で女の子とデートでもしたかのように嬉しそうだった。



「はぁ―――??なんで??」



昨日電話した時、何も言ってなかったやん。



「なんでって、誘ってくれたから」



・・・・・・なぜ、束ちゃんを誘ったの?


「・・・・・・」



「佐々木先生って、本当にもものことが好きなんやな」



「ぶっ・・・」


思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになってしまうくらい驚いた。



「ほんま、かっこいいよな」



頬杖をついて、遠い目をしながら言う束ちゃんは、まるで恋をしているようだった。



「惚れないでよ」


「はぁ?俺はそんな趣味はないし!」


真剣に否定する束ちゃんが面白くて、つい、吹き出してしまった。



「面白すぎるわ、束ちゃん」


「笑うな!」



何かを言えば言うほど面白くて、笑いをこらえるのに必死だった。