「もしもし」


「あっ、睦美?」


「うん」



やばい。


瞬さんの声が優しくて泣いてしまいそう。



「睦美、どうした?やっぱり元気ないな。なんかあった?」



どうしてそんなことを聞くの?



「なんにもないよ。ところで瞬さんこそどうしたん?何か用があるんでしょ?」



私は精一杯の強がってみた。


「あぁ、睦美、明日は夜勤だよな?」



「うん」



「じゃぁ、金曜日会えない?俺、早く仕事が終わりそうなんやけど」


金曜日・・・・・・神尾先生の勉強会だ・・・・・・。



「ごめん。夕方に神尾先生の勉強会があって、私手伝わないといけなくて・・・」



「そっか・・・」


瞬さんの声が明らかに暗くなったのがわかった。



「ごめんね」


「なぁ、その勉強会って、何時に終わる?」


「19時からだから、20時半には終わると思うけど?」


「じゃぁ、その後会えない?」


「えっ、片付けとかで遅くなるよ?」



20時半に終わると言っても、片付けをしたら、確実に21時は超えるし・・・。



「うん。会いたい。睦美に会いたい」



あぁ、心臓が早く動きすぎて苦しい・・・・・・。


体中が熱くなってくる。あたしも会いたいよ。



「うん。わかった」




私は静かに返事をすると、「よかった」と嬉しそうに声を出している瞬さんを想像すると、笑いが込み上げてきた。