家に入るとすぐに浴室に向かい、全てを流してしまおうとシャワーを浴びた。
『結婚しよう』
その時の彼の真剣な表情を思い出すと涙が出てきた。
今頃、どうしてプロポーズするのよ。
私は、あの時ずっと待っていたのに。
溢れて出てきた涙は、止まることがあるのだろうか?と思うくらい、シャワーのお湯と共に流れ続けた。
はぁ、濡れたままの髪にバスタオルを掛け部屋に入ると私は大きな溜息をついて、ドアの前に座り込んだ。
そして、もう出ないと思っていた涙が瞳に溜まって来た。
その時、スマホの着信音が鳴った。
―――佐々木瞬―――
スマホのディスプレイを見なくても分かる。
彼専用の着信音にしているから。
私は溢れそうな涙をタオルで拭うと電話に出た。