家まで送ってもらう車の中でも、彼は何もなかったかのようにアメリカでの2年間の生活について話していた。
まったく耳には入って来なかった。
ただ、窓の外の真っ暗な景色を見ていた。
私が上の空なのに気付いたのか、彼は私の気を引くために口にした言葉によって、私は現実に引き戻される。
「佐々木瞬ってさ・・・」
「えっ?」
思わず反応してしまい、反射的に彼の方を向いた。
私の反応を見て、彼は「やっと僕の方を向いてくれたね」なんて笑顔で言う。
「睦美、愛してる」
最後にそう言われると、私は何も答えずに車を降りた。