「佐々木瞬が好きなんでしょ?」



突然出てきた名前に私の目が見開くのがわかった。

なんで・・・・・・知ってるの?


誰に聞いた?いや、束ちゃんしか知らないし・・・・・・。



「その表情だと図星だね」



・・・・・・かまをかけただけか。


彼の罠にまんまと嵌ってしまった。



「・・・・・・」



私はそのまま俯いて、言葉を発することができなかった。


そんな私の姿を見ているのは、視線を感じているのでわかる。



「・・・・・・睦美は、寂しかったんでしょ?

だから僕と真逆の男に惹かれたんだよね。

これは、僕が君を2年も放っていたからしかたないことだよね。

今回だけは、気の迷いってことで許してあげるから、戻っておいで」



私は目を閉じ、膝の上に置いた手を握り締め、歯を食いしばった。



寂しかったのは確かだけど・・・・・・瞬さんへの想いは気の迷いなんかじゃない。