「じゃぁ、帰ろうか」
パソコンを切り、立ち上がると、私にも片付けるように促した。
「睦美、送るから」
私がプリント類をまとめていると、後ろから聞こえた言葉に体が強張った。
思わず手に持っていたらプリントを落としてしまいそうだった。
「結構です。一人で帰りますから」
「こんな時間に一人で帰すわけにはいかないよ」
私の言葉を拒否するように自論を展開した。
こうなったら、私は彼には何も言うことができない。
そして、彼の外車の助手席に乗ってしまうんだ。
いつもは、見えるはずの瞬さんの顔は、真っ暗な景色。流れているのはクラシック。
そして、左手は彼の手に捕らえられそうになったが、払った。
違和感だらけ・・・私はこんなことを望んでいない。