「話したよ!だって、あんな苦しそうな神尾先生を放っておけないし、アメリカから帰って来てから、ずっとボーっとしてて、仕事も手についていない感じだったし。

今でも睦美のことが好きなんだよ?」



本人には言われていない言葉を言われて、胸の奥がチクリと痛んだ。



「それに・・・・・・私も帰って来て欲しいし」



「・・・・・・」



私は何も答えることができなかった。


今頃そんな後悔されても・・・遅いし。あの時じゃないとダメだったのに。



「睦美が辞めてから大変だったんだよ?今だって・・・・・・」



寂しそうな声で私にすがってくるように言われたが、私は受け入れようとはしなかった。



「私は戻る気はないから」



そう言うだけ言って、電話を切った。