******


「朝から大雨の注意をして下さい。がけ崩れの起こりやすい地域は気を付けてください」


朝の天気予報で言っていた通り、今日は、朝から大雨で病院につくまでにずぶぬれになった。


しばらく雨が降っていなかったといえども、恵みの雨とは言えない。


白衣に着替えて、廊下を歩くも、なんとなくジメジメしていて、病院の中でも雨が降り出しそうなくらいの湿気を帯びていた。


ナースステーションに入ると、いつしかに似た雰囲気に包まれていた。


なぜかみんなのメイクが濃い。


雨で崩れていた髪形もしっかりと直されている。



あぁ、瞬さんが初めてここに来た時と一緒だ。


また、どこかのイケメンドクターでも来るのか?



まぁ、私には関係ない。



いつもは、一番前にいる朝礼も、今日は束ちゃんと新人さんと並んで一番後ろ。



みんな気合入りすぎ!


「おはようございます」



朝礼には、珍しく上野山さんの声がしたかと思うと、みんなが口ぐちに喋り出した。



「うわぁ、かっこいい!」


「いくつやろう?」


「彼女いるのかな?」


私は、そのみんなの背中を見つめて、顔は上げずにいた。



「もも、佐々木先生に負けないくらいイケメンやで」


束ちゃんは、自分の肘で私の腕をつつき、小さな声で言った。



「あっそ」



イケメン、イケメンってうるさいな。



ようやく顔を上げて、目の前にいたみんながイケメンと騒いでいる人物を見て、私はその場に倒れてしまいそうになった。