―――宮沢信夫氏 40歳男性  20時頃、妻がお風呂からあがったら、リビングで倒れている夫を発見し、救急要請―――


それから救急隊員に詳細を聞き診察に入った。


今までの通院歴 なし、現在意識は戻っている。

血圧135/65、心拍数75回/min、救急時の心電図 異常所見なし


現在は受け答えもしっかりしていたが、念のため検査をすることになった。


「見た目では以上は認められませんが、検査の必要があると考えます。まず、MRIから撮りましょう」


ストレッチャーのまま宮沢さんはMRI室に搬送された。

その姿を見て、奥様は心配そうな表情をしていた。


「奥様、大丈夫ですか?」


私は、動揺する奥様に話しかけ、なるべく安心させてあげようと思った。


MRIの操作室では、放射線技師の西條さんと佐々木先生が真剣な表情で画面を見ている。


「私、あの人にもしものことがあったら・・・」


「奥様、そんな悪い方に考えないでください」


MRI室の明かりの他は、真っ暗な廊下の椅子に座り、話を続けた。


―――検査説明―――


「MRIの結果は、今のところ意識をなくされた原因になるようなものはありません。私は、消化器外科が専門なので、明日、脳外科の医師に診てもらうようにしておきます」


「はい・・・じゃあ・・・」


奥様は、倒れた原因を聞きたかったのだろうが、言葉が出なかったようだ。


「倒れた原因は、これから調べる必要があります。

貧血かもしれないし、MRIには映らなかったが、脳が原因の場合もありますし、心臓が原因かもしれません」


先生は、ゆっくりと柔かな口調で、説明をしていた。


「はい・・・・・・」


「今すぐは検査できないので、入院して明日から検査となりますがよろしいですか?」


「はい」


宮沢さん夫妻は納得したように頷いた。


検査後、ヘルパーさんにお願いして、私は救急室で先生からの指示を受けていた。