「瞬さん、隣に行っていい?」
もう一人でいるのは限界だった。
そばに彼がいるとわかっていても耐えることができなかった。
「あっ、いいよ」
私は起き上がり、ベッドから下りて、瞬さんが寝ている布団にもぐりこんだ。
入るとすぐに彼のぬくもりと香りによって少し安心できた。
瞬さんは、そっと私を抱きしめてくれ頭を優しくなでてくれた。
の手のぬくもりが、本当に優しくて・・・・・・やっぱり涙が出てしまうんだ。
「睦美、泣いてるの?」
そう言うと、ギュッと強く抱きしめてくれた。
瞬さんの心臓もドキドキしているのが分かり、少し笑うことができた。
それなのに・・・・・・再びあいつの顔が浮かんでくる。
「睦美、大丈夫?」
あいつの顔が浮かんでしまい、震えていた。
そして、触られた腕、肩、そしてあいつの唇が触れた私の唇・・・・・・あの時のことを考えると・・・・・・自分の全てを取り変えてしまいと思ってしまう。
「瞬さん・・・・・・キスして」
恐怖におののくあまり、私は大胆なことを口走っていた。
いや、口走っていたのではない・・・考えて口にしたんだ。
あいつが触れたという記憶を消去して欲しい。あなたの体で・・・・
「えっ・・・?」
驚き私を抱きしめる力が緩んだかと思うと、口を開いた。
「睦美、もしかしてあいつにキスされた?」
・・・・・・知られてしまった。
瞬さんだけには知られたくなかったのに・・・・・・。
ストーカーとは言え、瞬さん以外の人とキスしたのを知られたくなかった。