「あはははっ」
私は、今日のことを忘れるように笑いに集中した。
お腹を抱えて笑っている所に、瞬さんがお風呂から出てきた。
お風呂上がりの姿は、何度も見ているが、ここが自分の家ということでドキドキしてしまった。
濡れた髪がセクシーで、余計に胸を高鳴らせる。
しかし、下へと目をやると、長袖のはずの袖は短く、ズボンの裾も短い。
瞬さんと父では、身長差が15cm近くあるので仕方ない。
「なんか恥ずかしいんやけど」
そう言って、自分の姿を見る彼がかわいく見えた。
そして、その姿を見ると、私は立ち上がるとお風呂に向かった。
体を洗っていると、さっきの出来事が襲って来て怖くなってきた。
あの正気ではない目つき、掴む腕の強さ、そして奪われた唇。
いつの間にか、私は座り込んで、涙を流していた。
全身が震え、動けなくなる・・・怖い・・・怖い・・・。
「キャ―――!!」
私は、知らず知らずのうちに大声で叫んでた。
「睦美大丈夫か?」
「睦美?」
あぁ、瞬さんだ・・・お母さんだ・・・助けに来てくれた。
「睦美、開けるわよ!」
そう言って、浴室のドアを開けたのは、母だった。
「大丈夫?もう流して出てきたら?」
座り込む私の背に優しく声を掛けてくれた。
「うん」
返事をすると、ゆっくりと立ち上がり振り返ると、目の前には心配そうな顔をしている瞬さんがいた。
「キャ―――!!」
私はその場にうずくまり、体を隠した。
ちょっと、瞬さんは出て行ってると思ったのに。