「睦美・・・・・・浮気はダメだよ?」
薄ら笑いを浮かべる男は、気味が悪く、何を考えているのかが全く分からなかった。
「はぁ?何言ってるんよ!」
思い切り睨みつけたが、そんなものは男にとって何の効果もなく「怒った顔もかわいいね」なんて不気味に笑う。
腕を振り払おうとしても、男の力には叶わず、もがくだけ無駄な感じはしたが、本能的に抵抗をしていた。
「睦美、好きだよ」
「早く、こっちにおいで」
「あんな男は早く切ってね。今なら許してあげるから」
まるで、自分が彼氏といった口ぶりの彼は・・・・・・ストーカーだ。
いつも私の仕事が終わる時間に待ち伏せしていたんだ。
そして、私が瞬さんの部屋に入って行くのも見てたんだ。
「医者のくせに看護師に手を出すなんてね。あぁやって、何人もの看護師をだましてるんやで。睦美、早く目を覚まさないと」
「いや――――!!離して!!」
と叫ぶも、運悪く周りには誰もいない。
そして、どんどん薄暗いビルの地下駐車場の方へ連れて行かれる。
助けて・・・・・・瞬さん。
お願い・・・・・・。
誰もいないく、何台かの車だけがある駐車場に着くと、思い切り抱きしめられた。
痛い・・・嫌・・・。
ここから逃げ出したいのに、体が動かない。体がガタガタと震えて足に力が入らない。