「あれ?もう終わった?」


ちらっと伺うように私の方を向き、左手でオーディオのボリュームを上げていた。


「あぁ、うん」

「どうした?帰ってこいとか言われた?」


・・・・・・これは言うべき?


「いえ・・・帰って来なくていいって言われました」


「ぷっ・・・」



私の言葉にむせてしまったらしい。そりゃそうか・・・・・・帰ってこなくていいって言われたって暴露してしまったら驚くよね。


でも、彼は、一瞬動揺しただけで、その後はこれを武器に変えてしまうんで。



「で、睦美は、帰らないの?」



・・・・・・やっぱり聞きますか?



「・・・・・・」



寝たふり。



「あれ?寝たんかな?このままホテルでも連れ込もうかな~」



「はあ??」



「起きてるやん」



騙された・・・・・・。やっぱり負けてしまうんだ。



「う・・・・・・」



「俺、腹減って、激しい運動できないから、今は連れ込まないし」



何、その発言。突っ込みどころが多すぎて、もう何も言えないんですけど?



「アホ」



この中に全てを集約して答えとした。