「なぁ、雄哉の店でいい?」
「あっ、はい」
何もなかったように次の会話をし始めるところとかは、あなたらしい。
それより私たちって仲直りしたのかな?
後でちゃんと謝ろう。ちゃんと謝らないと。
素直にならないと。
「あっ、家に電話しておくね」
「あぁ」
すぐに左手は、オーディオのボリュームに伸びて、切ってくれた。
呼び出し音が耳に響く。
そして高くて明るい声は、「睦美?」と呼ぶ。
「お母さん、あのね、今日は夕食いらないから」
「わかってるよ。先生と会ってるんでしょ。明日、夜勤でしょ?帰ってこなくていいからね。じゃぁ、バイバイ」
とだけ言って、一方的に切られた。
・・・・・・どれだけ勝手な親なんだろう。
でも、ありがたい。