私が完敗した夜勤の日以来、私は佐々木先生と関わることが多くなった。
「ももちゃん、今日は佐々木先生の回診に付いてね」
看護師長の言葉に周りは安堵のため息をついていた。
みんな佐々木先生の回診につくことを心底嫌がっていた。
なぜなら・・・・・・
『怒られるから』
『何を考えているかわからない』
『冷たい目が怖い』から。
私自身、この話を聞いて血も涙もない人だと思っていた。
しかし、彼は違う。患者さんの前でのあの柔らかい声と優しい表情・・・・・・それを皆は見ていないんだ。
「わかりました」
でも実際は、私自身も怖かった。