「ももちゃん、おはよう」
更衣室で着替えていると、高倉主任が入って来て、挨拶を交わす。
「ももちゃん、最近元気ないけど、何かあった?」
「えっ?」
自分でも普段通り過ごしていたといたと思っていただけに高倉主任の言葉に驚きを隠せなかった。
「ちょっと痩せたみたいだし」
そう言えば、最近食欲ないんだよな・・・。
元々痩せ気味の私は、これ以上痩せては体が辛いので、なるべく食べるようにしているが、この1週間は本当に食欲がわかない。
原因は分かってる。
このままではいけないのもわかっているのに「ごめんなさい」と言えなかった。
幸か不幸か、今日の佐々木先生の回診の担当は私になった。
どうしよう・・・・・・どんな顔をして会ったらいいんだろう。
食堂で溜息をついていると、高倉主任が「幸せが逃げるよ」と笑顔で声を掛けてくれた。
「高倉主任・・・」
「ももちゃんが元気ないのは珍しいわね。仕事のことではなさそうやね・・・彼氏?」
「いえ・・・・・・」
私は、図星をつけれ、動揺したが、ごまかそうとした。
「そう?そう言えば、ももちゃんって、彼氏の話とかしないよね?」
興味津々といった様子で高倉主任は、私の顔を覗きこんで込んだ。
私はこの病院に来てからは、瞬さん以外は誰とも付き合っていなかったので、縁がなかったというのが事実。
合コンにも連れて行かれて、告白もされたことはあるが、付き合うことはなかった。
「はぁ・・・いないんで・・・・・・」
別に彼氏がいることまで隠す必要はなかったがいるとわかったら、周りの人に根掘り葉ほり聞かれるのが分かっていたので嘘をついた。
「そうなん?ももちゃん美人だから絶対に彼氏いると思ってたんだけどなぁ」
明らかに疑うような表情だったが、高倉主任はそれ以上詮索しなかった。