「おばあちゃんが悲しむよ・・・・・・」
私の言葉に黙ってしまった彼に、私はそう言った。
そんなことしていたら、おばあちゃんが悲しむよ・・・・・・。
「でも・・・・・・」
まだ言い訳をいようとする彼に、最後の一撃を加えた。
「さっさと、上野山さんに電話して、今日の当直をするって言え―――!!」
私は鞄を持って立ち上がると、玄関へ向かって足を進めた。
「・・・・・・わかったよ」
ソファに座っている彼から不機嫌そうな声が聞こえ、思わず立ち止まってしまった。
そして、背後に気配を感じたと思ったら、私の隣を通り過ぎて床に置いてあった鞄の中からスマホを取り出すと、電話を掛け始めた。
「上野山?当直してくれる奴、見つかった?」
私の目の前で見せつけるように話し始める様子をじっと見ていた。
「そう。じゃぁ、やっぱり俺が入るわ」
そして電話を切ると、「これで満足?」と見下すように言われ、私の中で何かが弾けるのがわかった。
「あんたの顔なんて見たくない!」
吐き捨てるように言うと、玄関まで走った。
ほんまに腹立つ!なにあいつ偉そうにして!結局、私のことを見下してるんじゃないの?あ―――腹立つ!
私はイライラしながら、帰り道を急いでいるわけでもないのに足早に帰った。