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「はぁ・・・やっぱり食いすぎやんけ!!」


カルテに記入してもらおうとナースステーションに戻った途端、人が変わったように毒を吐き始めた。


ゲッ、戻ってきたよ、俺様ドクター!


「患者の食事の管理くらいできないのか?この病院は!」


振り返り、私から高井さんのカルテを奪うようにして取ると、丸イスに座りカルテに記入し始めた。

私は、先生の左側に立ち、 その様子を見ていた。

そんなこと私に言われても・・・最近は、高井さんの担当じゃなかったし・・・。


そんなことを考えていたが、口にするわけにはいかない。


指導できていない看護師がいるといくことは、その看護師の指導もできていない証拠。これは私達の責任だ。


「すみません」


私の謝罪の言葉に対して俺様ドクターは、カルテから目を離さずに言った。


「何、謝ってるの?あんたが見落としたわけ?」

その声は、厳しいものではあったが、先程のような刺すようなものではなかった。


なんでこの人はこんなことを言うの?

誰が見落としていても、先生に関係のないこと。


「いえ・・・」



「誰かを庇ってんの?」


頬杖をついて、私を見上げるように言う俺様ドクターの視線はやはり冷たかった。



「指導できていない私達の責任でもありますから」


唇を噛みしめて言う私は、俺様ドクターの顔を見ることができなかった。


「ふうん」


私の言葉に納得したのか、していないのかはわからなかったが、私はそれ以上、何も返すことができなかった。

俯く私への視線をひしひしと感じながら過ごす沈黙の時間。

それはたった数秒だったはずだが、私には数十分にも感じられた。




「佐々木先生!怒るなら、私を怒って下さい」


ナースステーションの外から見て、私が俺様ドクターに怒られているように見えたらしく、愛ちゃんは慌てて走ってきた。

私は顔をあげると、愛ちゃんを止めようとしたが、彼女のいつになく真剣な眼差しに私は出した手を下ろした。


そんな愛ちゃんの姿を見ると、俺様ドクターは、腕を組み冷たい視線を送った。


「君か、さっき内線してきたの」


「はい、すみません」


愛ちゃんは、今にも泣きそうな表情で頭を下げた。


「あのな、自分の仕事は最後まで責任を持てよ。

あれくらいで泣いていたらこの先やっていけないんじゃない?看護師に向いてないんじゃない?」


俺様ドクターは、泣きそうになっている愛ちゃんに追い打ちをかけるように冷たく言い放った。


なんてことを言うんや!この男!
あんたの言い方がきついんやん!


何も言えない愛ちゃんは、少し震えているのが見ても分かった。

そして俺様ドクターは、立ちあがると愛ちゃんを見下ろすようにすれ違い、ナースステーションを出て行った。