雨は止まない。
息も止まらない。


腹から出る声が公園に響く。



砂を踏みしめる足音で、泣くのをやめた。

「帰ったら?」
後ろから声がする。
振り向く元気はなかった。
「なぁにお前」
後ろから私の前にしゃがみ、顔を覗き込む。
寂しい目をした男の顔があった。
「ふーん、可愛いね」
わたしに触れようとするその手を、今まで人に加えた事ない力で握った。
「…1人にしてください」
近藤さんからもらった5000円を、渡して。
「なぁに、いらねーのかよ」
鋭い声が耳に刺さる。
「金は大事だからもっとけ」
私のバックに5000円を入れて、彼は言った。



安っぽい香水を漂わせて、また彼はこういった。
「うちまで送ってやるよ」