みんなが外野としての俺を誉めてくれるのは、すごく嬉しい。何しろ、滅多に部員を誉めない監督が、記者の前で俺のことを誉めたのだ。それは正捕手になれたことより、ずっと嬉しかった。

「俺じゃなくても外野はいるけど、キャッチャーは俺しかいない。やらないわけにはいかないよ」

 今度は、スタンドからじゃなくて甲子園で試合を見たい。

 ホームで、全てを見渡してやるんだ。



「カズ、今日も捕球練習付き合ってくんない?」

「いいけど、あんま無理すんなよー」

 居残り練習には、桜庭さんと同じサウスポーのカズに付き合ってもらっている。中学校からのチームメイトだし、何かを頼むのも、カズが一番話しやすい。


「さっきチラッと聞いたんだけど、国体で先発マスクは翔に任せるって監督が言ってたぜ」

「マジで!」

 嬉しさと躊躇いの気持ちでいっぱいになり、俺はミットを構えられなくなった。

「大丈夫かよ? なんか、実戦でお前がどれだけ使えるか、監督が知りたいみたい…」