ブルペンで投球練習をしている桜庭さんは、相変わらずぶすくれた様子で思うように変化球を取ってくれない先輩にイラついていた。
「市川さんがいい。脇谷さんじゃダメだ」
平気で先輩に対してもこの物言い。甲子園でベスト8まで導いたエースでなければ、脇谷さんだって張っ倒すに違いない。
「お前、わざと取りにくい変化球投げただろ。そんなことやったって、どうにもならないんだぞ。それに国体終わって、俺たちが引退したら翔と組むんだし…」
桜庭さんはじっと市川さんを睨み付けている。黙って俺の球を取れ、と言わんほど強い眼差しに俺の方が怖くなってしまった。
「市川さん、行ってください。見るのも勉強になりますし」
「…そっか、悪いな」
俺は、この気難しいピッチャーに、ここまで球を取ってほしいと欲してもらえるのだろうか…。
「市川さんがいい。脇谷さんじゃダメだ」
平気で先輩に対してもこの物言い。甲子園でベスト8まで導いたエースでなければ、脇谷さんだって張っ倒すに違いない。
「お前、わざと取りにくい変化球投げただろ。そんなことやったって、どうにもならないんだぞ。それに国体終わって、俺たちが引退したら翔と組むんだし…」
桜庭さんはじっと市川さんを睨み付けている。黙って俺の球を取れ、と言わんほど強い眼差しに俺の方が怖くなってしまった。
「市川さん、行ってください。見るのも勉強になりますし」
「…そっか、悪いな」
俺は、この気難しいピッチャーに、ここまで球を取ってほしいと欲してもらえるのだろうか…。