先輩と一緒に筋トレをして、配球の組み立て方や打者の癖の見抜き方など、バッターとしても参考になる話をたくさん聞けたのは、すごく勉強になったと思う。そもそも俺は、強打者志望だったのだから。
「キャッチャーってのも楽しいだろう? バッターとしての自分を見直すこともできるし、自分の配球で相手からアウト取ると、めっちゃ気持ちいいんだ」
甲子園で桜庭さんの球を取り続けた市川さんは、嬉しそうにキャッチャーとしてのイロハを教えてくれる、優しい先輩だ。この人は、本当にキャッチャーの仕事が好きなのだろう。
「あとアレだな、集中力つけないと。9回まで打者に気の抜いたことはできないし、お前だって裕貴の信頼されなくなると困るだろ」
裕貴、というのはうちの看板ピッチャーであり、東聖の英雄桜庭裕貴さんのこと。幼さの残る顔立ちの、なかなかの美少年として定評だが、俺は今まで話したことはない。
「裕貴の奴、気難しいけどめげるなよ」
そうなんだ、桜庭さんはコントロールはめちゃめちゃ良くて、変化球も四つも持ってるけど…、性格が悪い。
ぶすくれた顔をして練習に取り組んでも、監督は一度も叱っているところを見たことがない。性格が悪い上に特別、ときたもんだ。おかげで誰も手がつけられなくて苦労したと、市川さんは笑いながら話してくれたけど、簡単に笑い飛ばせるまでに相当時間をかけたに違いない。
そして、めげたに違いない…。
「キャッチャーってのも楽しいだろう? バッターとしての自分を見直すこともできるし、自分の配球で相手からアウト取ると、めっちゃ気持ちいいんだ」
甲子園で桜庭さんの球を取り続けた市川さんは、嬉しそうにキャッチャーとしてのイロハを教えてくれる、優しい先輩だ。この人は、本当にキャッチャーの仕事が好きなのだろう。
「あとアレだな、集中力つけないと。9回まで打者に気の抜いたことはできないし、お前だって裕貴の信頼されなくなると困るだろ」
裕貴、というのはうちの看板ピッチャーであり、東聖の英雄桜庭裕貴さんのこと。幼さの残る顔立ちの、なかなかの美少年として定評だが、俺は今まで話したことはない。
「裕貴の奴、気難しいけどめげるなよ」
そうなんだ、桜庭さんはコントロールはめちゃめちゃ良くて、変化球も四つも持ってるけど…、性格が悪い。
ぶすくれた顔をして練習に取り組んでも、監督は一度も叱っているところを見たことがない。性格が悪い上に特別、ときたもんだ。おかげで誰も手がつけられなくて苦労したと、市川さんは笑いながら話してくれたけど、簡単に笑い飛ばせるまでに相当時間をかけたに違いない。
そして、めげたに違いない…。