何気なく公園の中を見た私は……


自分の目を疑わずにはいられなかった。







「サ……イ……」







声が震える。あの芝生の隅の、古いベンチに座っているのは……


少量といえ、傘も差さずに空を見上げているのは……




私の知っている限り、ひとりしかいない。







まさか、ここにいたなんて……全然考えもしなかった。


私が昨日連れてきた、公園にいたなんて……単純には考えもしなかった。


「サイ……!!」


ドサッと、かばんを濡れている地面に落とす。この際、誰かに盗まれてもいいと思った。


今はただ、ずっとずっと会いたかった人を、この両手で捕まえたくて……





「涙……?」