ぶつかった肩がジンジンする。
泣きそうになったけど、弱まりつつある雨が唯一の救いだった。
私は再び走り出す。
「サイー!!サイってば!!どこにいんのー!?」
きっと、この町のどこかにはいるはずなんだ……。
だけどそうはいっても、手がかりもなしにひとりの人間を探し当てようとするのは無謀なのかもしれない。
人にも聞こうにも、サイの姿が見えるのは私だけで…
でも、あきらめない。
今日がダメなら明日探す。明日がダメなら明後日探す。いつまでもいつまでも……君を探す。
もう奈々子を、ひとりで泣かせないためにも…
胸のあたりが、張り裂けそうに痛い。
沸き起こるその感情が一体なんなのか……私にはわからなかった。
「はあ……はあ……」
学校から飛び出してきてサイを探し始めてから……どれだけの時間が流れたのだろう。
無我夢中で走り回った。学校からの道のりはもちろん、頭に思い浮かんだ、自分の知っている町の場所は全て……いや、全てではないか。たった一日でこの町を回るのは無理だ。
額から、雫がゆっくりと流れ落ちていくのを感じる。それが雨なのか、汗なのかはわからない。