あやまりたい…
それを、くだらない意地で受け止めなかったこと、逃げたこと…
そして、傷つけたこと…
『死んだ人間のくせに、生きてる人間の事情に口出しするな!!』
サイは、生きている……。
少なくとも、見える私の前では……生きている。
だから伝える。
さっき……奈々子が言っていた。
生きているうちに伝えられなかった想い……どうしたら伝えられるのかって。
大好きな親友の願いを叶えてあげられるのは……唯一サイの姿を見ることができる、私しかいないじゃないか。
―ドン!
「きゃ……!」
「いってえなあ!!気をつけろブス!!」
いかにも厳つい顔をした、不良っぽい男の人に思い切り肩をぶつけてしまった。心に突き刺さるような罵声が瞬時に飛んでくる。
「すいません!」
「ちっ……!」
男は威嚇するように激しく舌打ちすると、雨の中をスタスタと歩いて行ってしまった。