「もう、せっかく待ってたのにー!」
「ははっ、ごめんごめん」
私はかばんのチャックを閉めた。
「じゃあ、そういうことならあたしら行くね」
「うん」
「また明日ー」
咲乃たちが手を振りながら教室を出て行く。3人の姿が見えなくなった瞬間、同時に私の顔からは笑顔が消えた。
お母さんが迎えに来るなんて……それもウソだ。
3人と鉢合わせにならないよう、時間差で教室を出る。玄関に向かい、中靴からローファーに履き替えて、私は外を見た。
雷……は止んだみたいだけど、朝に比べたら雨はだいぶ激しさを増している。風も凄まじいことになっていた。傾いている木々を見ればわかる。
バカなのは、わかっていた……。
すう…
「はあ…」
覚悟はできている…。
私は一度深呼吸をすると、玄関を開けて、荒れ狂う外の世界へ飛び出した。