『とりあえず合流しましょ』
満の妙に落ち着いている声に
私も少し落ち着きを取り戻す。
「うん、私ね、今なんかワッフル売ってるクラスの前に居る」
『私の前にはチュロスのクラス』
……うん、そう言い合ってもお互い場所なんかわかんないよね!!
電話越しの沈黙に
どうしたものかと頭をひねっていると、
ひとつのものが目に飛び込んできた。
「あ、満、なんか出店がいっぱいある外にさ
大きなマークみたいなの見える?」
『ああ、この高校の校章のオブジェね』
「うん、よくわかんないけどさ、
あそこで待ち合わせってどうかな!」
『杏莉にしては良い考えしてるんじゃない、
じゃああそこで合流ね』
満に褒められたのが嬉しくて、
口角が上がりながら、そのマークを目指した。
階段を下りると
すぐそこに外へ出られる昇降口があって、
まっすぐあのマークを目指して
進んでいく。
両端に出店が並び、
人がたくさん居るけど、
大きなあのマークは
絶対に見失わなかった。
それの目の前に着くと、
まだ満の姿はない。
私の方が先だったのか。