みんなでアルバムを囲み

ぱらぱらと見ていると

やっと去年の写真になった。


「あ、これ俺が撮ったやつだ」

準備中の様子まで残されていて、

斉藤先輩が撮ったと言う

知らない男の人と門脇先輩の

笑顔の写真。


「ああ、倉石先輩だ、懐かしいなあ」


門脇先輩と、

多分去年卒業した先輩なんだろう。


その写真から楽しい気持ちがすぐに

伝わってきそうだった。

部員やうちの生徒の写真ももちろん、

一般の参加者の写真も貼ってある。


「これは……?」

池田が不思議そうに聞くと、

「これはな、

俺らの展示に興味持ってくれた人たちの

表情を残しておいてるんだ」

斉藤先輩の説明に胸が跳ね上がる。


じゃあ、もしかして、

私の写真もあるかも!?


ドキドキして、ページがめくられるたびに

去年の自分の姿を探す。


……だけど、


「ふう、こんなもんかー

参考にしつつ今年もいいもの作りたいわね」

見終わったと同時に

閉じられたアルバムの中に、

私の写った写真はなかった。


なんで、絶対、あるはずなのに。


門脇先輩に撮ってもらった、

私が先輩に恋した、あの時の写真が。