懐かしそうに、

そして愛おしそうに話す池田に

ドキドキする。


「なんか悔しいけどさ、

俺が好きになった小坂の笑顔って、

いっつも門脇先輩に向いてんだよな。


いくらお前に好きな人がいても

小坂のことが好きな俺の気持ちは無くなるわけじゃない。


それはお前も一緒なんじゃない?」


先輩が美涼先輩と付き合っていても


好きな気持ちは消えなかった。


私もあの時見た

オブジェに貼ってあった生徒の生き生きした表情に惹かれて

こんな風に人の笑顔を形にしたいって思って入部したことを思い出した。


ああ、池田のおかげで、

忘れてた大切なことを思い出せたよ。


「あ……、えっと……」


お礼と、

後気持ちを伝えてくれたことに何か言わなくちゃ。


そう思ったのが伝わったのか、


「いいよわかってるし」


またすぐ無表情に戻って

池田は頷いた。


「それより、

その顔はなんかすっきりしたんだろ。

だったら先輩に謝りに言って来い!」


そう言って私の背中をトンと押した。


「うん、そうする!

池田ありがとう!!」


私は急いで階段を駆け下りて

部室へと向かう。


ありがとう、池田。


私大事なこと見つけたよ。


私は門脇先輩が好きだからの気持ちだけで部活に参加してるんじゃないんだ!って。


写真が、写真部のみんなが、

色んな人の色んな表情が大好きなんだって!!