『ごめん、ちょっとすぐには戻れない』
ブレザーのポケットに入っていたスマホで
『なんかあったの?』
と戻らない私にみんなからメッセージが入っていたのに
返事をする。
まだ目が腫れていて、
みんなにはこの顔見せたくないからね。
文化祭で使われない教室の多い
西校舎の階段に腰掛けて、
向こうの賑やかな様子を遠めに眺めながら
ぼうっとしている。
先輩にはもう嫌われちゃったよね。
それでも謝らなくちゃ。
そう思いながら勇気が出なくて
ここで膝を抱えてくすぶってる。
スカートがめくれてても、
もうしらないもん。
泣きつかれたのもあってか
だるい頭を膝に乗せて
目を瞑った。
少ししてブレザーが震え始めた。
え、スマホがなってる?
手に取ろうとしたとき
「はあー、やっといた。
てかお前、見えてんぞ」
相変わらず無表情で
スカートがめくれていることを指摘する
池田は走ったのか少し息が上がっていた。